クーポンでも割引でもない。島育ちだけが知る絶景をLINEで教えて、月商600万円を超えた石垣島のレンタカー屋の話
「LINE登録で使えるクーポンをプレゼント」。この案内を、今どれだけの店が出しているでしょうか。飲食店も美容室も、あらゆる業種で当たり前になりました。
石垣島のあるレンタカー屋は、LINE登録の特典にクーポンも割引も使いませんでした。代わりに差し出したのは、島育ちのスタッフしか知らない絶景スポットの情報です。
島内平均は月商100〜200万円。この店は600万円を超えた

石垣島のレンタカー屋の月商は、島内平均で100〜200万円です。その中で1軒だけ、月商600万円超えを達成し、地域ナンバーワンの売上を誇っている店があります。平均の3倍以上です。
特別な広告費をかけたわけではありません。やったのは、LINE登録の仕組みと口コミを組み合わせたことです。
分解すると、この店の打ち手は3段階になっています。特別なオファーで登録させる。体験で感動させる。感動している瞬間に口コミを頼む。順に見ていきます。
登録の理由を「お得」から「ここでしか知れない」に変えた

同じ特典が並ぶと、登録する理由が消える
クーポン、割引、プレゼント。どこも同じような特典を出していると、見込み客からは「どこも一緒」に見えます。どこで登録しても同じなら、わざわざ登録する動機は弱くなります。
元ネタが指摘しているのは、人は「お得感」よりも「ここでしか手に入らない情報や体験」に強く惹かれる、という点です。
大手メディアにも旅行雑誌にも載っていない情報
この店は、旅行者がレンタカーを調べている段階で、次のオファーを出しました。
島育ちスタッフだけが知る、メディア未掲載の絶景スポットをLINEでお教えします
旅行者にとって、地元の人しか知らない穴場情報は非常に魅力的です。LINE登録は自然と増えました。登録後は実際のスポット情報を発信し、そのやり取りの中で信頼関係が生まれ、レンタカーの予約につながっていきます。
このオファーは、競合がまったくやっていない、レンタカー屋ならではのものです。値引きの額で競っていません。
口コミは、車を返しに来た瞬間に頼む
2つ目の工夫は、車の返却時にあります。スタッフが「どちらへ行かれましたか?」と一声かけます。紹介したスポットへ行った客は「最高でした!」と興奮しています。その瞬間に、こうお願いしました。
このスポットをもっと多くの方に知っていただきたいので、口コミをいただけますか?
感動が冷めないうちに頼む。元ネタはこのタイミングの妙を強調しています。時間が経てば経つほど、依頼しても書いてもらいにくくなるからです。

その結果…
口コミは600件近くまで積み上がりました。新規客がその口コミを見て来店する、自動集客の仕組みができあがっています。月商は島内平均の3倍以上、600万円を超えました。
【独自考察】特典と口コミ依頼が、同じ1つの話でつながっている
絶景を知った人には、そこへ行く足が要る
私たちがこの事例で一番うまいと思うのは、特典そのものが本業の需要を生んでいることです。
クーポンは、受け取った人に「安くなる」以上の行動を起こさせません。一方、絶景スポットの情報は、受け取った瞬間に「そこへ行きたい」という予定を生みます。旅行者がそこへ行くには移動手段が必要で、その情報をくれたのはレンタカー屋です。
つまり、登録の特典が、そのまま予約の理由になっています。値引きで釣った登録者は値引きで離れますが、行きたい場所ができた登録者は、そこへ行くまで離れません。

頼んでいるのは店の評価ではなく、スポットの紹介
もう1つ注目したいのが、口コミを頼むときの言葉です。
「当店の評価をお願いします」とは言っていません。「このスポットをもっと多くの方に知っていただきたいので」と、理由をスポットの側に置いています。客からすれば、店のために書くのではなく、自分が感動した場所を誰かに教えるために書くことになります。
しかも、そのスポットは登録の特典として受け取ったものです。LINE登録の入口で渡した情報が、返却時の会話のきっかけになり、口コミの題材にもなっています。3段階がばらばらの施策ではなく、1本の話でつながっている。だから600件近くまで積み上がったのだと考えています。
口コミ依頼がうまくいかない店の多くは、頼むタイミングと頼む理由の両方が、店の都合で決まっています。この店はどちらも客の感動の側に合わせました。
【応用編】自分の店のLINE登録に当てはめる3つの問い

手順として並べるより、今の特典を点検する問いとして置いたほうが使いやすいと考えました。
問い1. その特典は、同業他社も出していないか
元ネタが実践のポイントとして挙げているのは、LINE登録のオファーを考えるときに「競合他社がやっているかどうか」を必ず確認することです。同業他社が同じことをしていたら、差別化になりません。
出発点は「うちにしかできないこと」「うちだからこそ提供できる情報や体験」です。美容室なら「登録者限定・スタイリストが教える自宅でできるヘアケアの裏技動画」、整骨院なら「LINE登録で受けられる・自分の体のゆがみがわかる無料姿勢診断」、飲食店なら「登録者だけに教えるシェフのまかない飯レシピ」が例として挙げられています。
問い2. 登録した後に、届け続けるものがあるか
このレンタカー屋は、登録後も実際のスポット情報を発信して信頼関係をつくりました。登録の瞬間だけ価値があり、その後は告知しか届かないLINEでは、予約までの距離が縮まりません。
問い3. 客が一番感動している瞬間は、いつ、どこにあるか
この店にとってのそれは、車の返却時でした。業種によって場所は違います。仕上がりを鏡で見た瞬間かもしれませんし、施術後に体が軽くなったと感じた瞬間かもしれません。
その瞬間にスタッフが一声かけられる流れを、あらかじめ決めておきます。後日メールで依頼する形にすると、感動はもう冷めています。
そのLINE登録は、どこでも手に入るものを配っていないか
LINE登録を増やしたいとき、特典の割引率を上げるのが自然な発想です。実際、登録は増えるかもしれません。
ただ、このレンタカー屋が配ったのは割引ではありませんでした。島で育った人しか知らない場所を1つ教えて、そこから戻ってきた客に、その場所の話を書いてもらった。それだけです。
自分の店のスタッフしか知らないことは、何があるでしょうか。それはまだ、LINE登録の特典になっていないでしょうか。