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大きな広告は打っていない。自分では出会えないワインを毎月2本届けて、会員1,000人を超えたワイン専門店の話

毎月、何かが届くサービスは珍しくなくなりました。食品、日用品、花、本。サブスクリプションという言葉も、すっかり日常のものです。

選択肢が増えるほど、申し込む側の目は厳しくなります。「毎月〇〇が届きます」というだけでは、なかなか申し込みの決め手になりません。

そのなかで、小規模なワイン専門店が月額約6,500円のサブスクを立ち上げ、会員数1,000人を突破しました。大規模な広告展開をしたわけではありません。

小さなワイン専門店のサブスクが、会員1,000人を超えた

月額約6,500円のワインのサブスクで、会員数1,000人を突破した

このワイン専門店の会員を集めたのは、広告ではなくサービスの設計そのものでした。

オーナーが長年築いてきた酒蔵とのコネクションを活かし、「他では手に入らないワインを届ける」。この一点が、ワイン愛好家の心を掴みました。

届けるのは毎月2本。一般の酒屋やネット通販では流通しない、希少なワインを厳選しています。

売ったのは「便利さ」ではなく「レア体験」だった

毎月ワインが届くという便利さと、自分では出会えないワインが届くという体験

「これは入るしかない」と感じる理由が要る

サブスクリプションサービスが溢れる今の時代、見込み客が「これは入るしかない」と感じるためには、そのサービスでしか体験できない特別な価値が必要です。

このワイン専門店が打ち出したのは、「レア体験」というコンセプトでした。全国流通していないワイン。特定の地域でしか販売されていないワイン。年間数本しか製造されない希少なワイン。こうした「自分では到底出会えないワイン」が毎月届くとなれば、ワイン好きにとってこれ以上ない魅力になります。

希少性と、発見の喜び

「レア体験」が強いのは、2つの感情を同時に刺激するからです。ひとつは希少性。人は「自分だけが手に入れられるもの」「普通では出会えないもの」に特別な価値を感じます。

もうひとつは発見の喜びです。毎月「次は何が届くだろう」というワクワク感が生まれます。元ネタは、これによって継続率も自然と高まると説明しています。

ワインと一緒に、背景も届けた

オーナーは、長年かけて全国の小規模酒蔵と築いてきた独自のネットワークを最大限に活用しました。そして、次の体験価値を前面に打ち出しています。

あなたの知らない日本のワインと出会える

届けるのは商品だけではありません。ワインの背景にある生産者のストーリーや産地の情報も合わせて提供しました。受け取る側は、毎月「新しい発見と感動」を体験できます。

棚に並ぶワインボトルと、産地の情報を添えて箱に詰める手元

その結果…

この設計が口コミや紹介を生み、月額約6,500円のサブスクは会員数1,000人を突破しました。大規模な広告展開に頼らずに届いた数字です。

【独自考察】「レア」は、言葉にして初めて伝わる

「希少なワインが届く」では、まだ足りない

元ネタが実践のポイントとして挙げているのは、「レアである理由」を明確に言語化することです。

「希少なワインが届く」という説明だけでは伝わりにくい。「全国で年間300本しか製造されない」「この地域の農家が手作業で作る」など、具体的な数字やエピソードを添えることで、希少性がリアルに伝わるとしています。

「希少」「こだわり」「厳選」は、多くの売り手が使う言葉です。誰もが使う言葉は、読み手にとって何も言っていないのと同じになりがちです。なぜ手に入らないのかを具体的に書いたときに、はじめて「レア」が事実として届くと考えています。生産者のストーリーを一緒に届けたことも、この言語化の一部だと読めます。

毎月〇〇が届くという利便性ではなく、自分では絶対に出会えないレアな体験が届くという特別感

広告は、届けるものが決まってから効く

この事例は、広告の話ではありません。むしろ、大規模な広告展開をしていない点が特徴です。

ただ、広告を出す立場から見ても示唆があると考えています。「毎月ワインが届きます」という訴求は、どれだけ配信を工夫しても、ほかのサブスクと並べて比べられます。「あなたの知らない日本のワインと出会える」は、比べる相手がいません。広告で伝える中身が、ほかでは手に入らないものかどうか。そこが決まる前に配信の調整に時間を使っても、効果には限りがあると考えています。

また、口コミや紹介で広がったという点も見落とせません。人に話したくなるのは「便利だった」より「こんなワインがあった」のほうです。レア体験は、受け取った人が誰かに語る材料にもなっています。

【応用編】自分の店に、3つの問いを当てはめる

ネットワークの棚卸し、レア体験を軸にしたコンセプト設計、数字とストーリーを添えた告知の3つの手順

元ネタは、このコンセプトがワインに限らず、あらゆる「熱狂的なファンがいるジャンル」に応用できるとしています。ゲーム、プラモデル、音楽、アート、食品。そのジャンルに深い知識とコネクションを持つ人が、「自分では探せないレアなもの」をキュレーションして届ければ、同じ仕組みが成り立ちます。

元ネタのACTIONを、自分に向ける問いの形にすると次の3つになります。

問い1:自分にしかない仕入れルートは何か

最初にやるのは、独自のネットワークや仕入れルートの棚卸しです。サブスクは毎月続くものなので、レアなものを継続的に仕入れられるルートや専門知識が前提になります。1回だけ珍しいものを用意できても、2か月目、3か月目に続かなければ成り立ちません。

問い2:お客様が自分では出会えないものは何か

次に、「自分では出会えないレアな体験」を軸にコンセプトを設計します。元ネタの応用例は次のとおりです。

食品専門店なら、全国の小規模農家から仕入れた「市場に出回らない幻の野菜・果物」を毎月届ける。古書店・書店なら、店主が目利きした「絶版・希少本や世界の珍しい書籍」を毎月1冊届ける。セレクトショップなら、バイヤーが世界中から厳選した「日本未入荷のブランドアイテム」を毎月届ける。

どれも、届くものの便利さではなく、出会えなさを売っています。

問い3:なぜレアなのかを、数字と物語で言えるか

最後に、希少性が具体的に伝わる数字やストーリーを添えて、告知・販売を始めます。何本しか作られないのか。誰が、どこで、どうやって作っているのか。ここが言えないうちは、まだ「希少」という言葉に頼っている状態です。

そのサブスクは、何を届けているか

サブスクの申し込みが伸びないとき、価格を下げるか、届く量を増やすのが自然な発想です。どちらも、「毎月〇〇が届く」という便利さの中での競争です。

このワイン専門店が届けていたのは、ワインそのものより、自分では絶対に出会えないワインとの出会いでした。そして、なぜ出会えないのかを、生産者のストーリーとともに伝えました。

いま売っている商品のなかに、お客様が自分では見つけられないものは、いくつあるでしょうか。

ADwith株式会社 代表 西川将吾
ADwith株式会社 代表 西川 将吾

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