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対応する犬種を、あえて減らした。プードル専門に絞り、1人で月商120万円を達成したトリミングサロンの話

小型犬も、中型犬も、どんな犬種でも。お店を開くとき、できるだけ多くの犬種を受け入れたくなるのは自然なことです。断れば、そのぶんお客様を逃すように思えるからです。

あるトリミングサロンは、その逆を選びました。それまで対応していた複数の犬種をあえて手放し、「プードル専門」に舵を切ったのです。

対応できるお客様は減ります。それでも売上は上がりました。しかも、運営しているのは1人です。

1人で運営するサロンが、月商120万円に届いた

プードル専門に絞って、1人で業界平均の約1.7倍・月商120万円

トリミングサロンの平均月商は、約70万円と言われています。そのなかで、このサロンは1人で月商120万円を達成しました。業界平均の約1.7倍です。

サービスを広げたのではありません。むしろ「絞る」という逆転の発想を取り入れたことで、単価アップと集客力の強化を同時に実現しています。

単価を上げればお客様は離れ、お客様を増やそうとすれば単価は下がる。ふつうはそう考えます。この事例では、その2つが同じ一手で両方動きました。

「何でもできます」は、どこにでもある店に見える

何でも対応するトリミングサロンと、プードル専門のトリミングサロン

多くの経営者は「できるだけ多くのお客様に対応できるように、サービスの幅を広げよう」と考えがちです。しかし実際には、サービスを広げるほど「どこにでもある普通のお店」になり、価格競争に巻き込まれやすくなります。

逆に、あえて対象を絞ると専門性が際立ちます。マーケティングでいう「ニッチ戦略」の考え方です。市場全体を狙うのではなく、特定のターゲットや商品カテゴリに集中することで、その分野の「専門家」としてのポジションを確立できます。

このサロンの場合、プードル専門という絞り方には2つのメリットがありました。

プードルは、もともと手間のかかる犬種だった

1つ目は単価の向上です。プードルは、カットのデザイン性や手間が他の犬種より高い犬種です。専門店として打ち出すことで、施術単価を通常より10〜30%以上引き上げることができました。

ただ高くしたというより、もともと手間のかかる施術に、それに見合う値段をつけられるようになった。そう捉えることもできると考えています。

飼い主から見れば、安心して任せられる店になった

2つ目は集客の質の向上です。プードルを飼っているオーナーからすれば、「何でも対応するトリミングサロン」よりも「プードル専門のトリミングサロン」の方が、明らかに専門性が高く安心感があります。

ターゲットを絞ることで「この人たちのためのお店」という強いメッセージが伝わり、見込み客が自然と引き寄せられます。

手放したのは犬種。守ったのは単価の高い領域

ここで見落とせないのが、何に絞ったかです。単価の低いものに絞ってしまうと、専門性は高まっても売上の上限が低くなります。市場規模が十分にあり、かつ単価が高い領域に絞ることで、集客と収益の両方を最大化できます。

このサロンは、専門店として打ち出すことで施術単価を大幅に引き上げました。元ネタでは、その幅の例として9,000円→15,000円が示されています。同時に、「プードルを飼っているなら、ここが一番」というブランドポジションを確立しました。

実践するうえでのポイントは3つ挙げられています。

1つ目は、絞る対象は「単価が高く、市場規模が十分あるもの」を選ぶこと。専門化すれば対応できる顧客の総数は減りますが、単価が高ければ十分な売上を確保できます。2つ目は、「捨てる勇気」を持つこと。既存の顧客やサービスを手放すことへの不安はつきものですが、中途半端に何でも対応しようとすると、専門性が薄まり差別化できなくなります。3つ目は、専門性を打ち出すすべての接点で一貫して伝えること。店名・SNS・チラシ・看板など、あらゆる場所で「〇〇専門」を明示することで、見込み客の記憶に強く残り、口コミも広がりやすくなります。

トリミング台の上のプードルと、ハサミを持つ手元

その結果…

プードルオーナーからの指名と口コミが増えました。1人での運営にもかかわらず、業界平均の約1.7倍となる月商120万円を達成しています。

【独自考察】1人の店ほど、「絞る」が効く理由

1人の店は、売上を「数」で伸ばしにくい

この事例で「1人で」という条件は、見逃せないと考えています。

1人で運営する店は、1日に施術できる数に上限があります。どれだけ集客がうまくいっても、手が足りなければ受けきれません。だとすれば、売上を伸ばす手段は件数ではなく、1件あたりの単価に寄っていきます。

何でも受ける店は、件数を取りにいく店です。プードル専門の店は、1件の価値を上げにいく店です。人手が限られる店ほど、後者のほうが理にかなっていると考えています。

プードルを飼っているなら、ここが一番

値上げの理由を、お客様が自分で知っている

ふつう、値上げには説明が要ります。ただこのサロンの場合、プードルのカットに手間とデザイン性が求められることは、飼い主自身がよく知っています。

専門店という看板は、その手間をきちんと扱う店だという宣言になります。高い理由を店が説明する前に、お客様の側が納得している。単価を上げても指名と口コミが増えたのは、この順番になっていたからだと見ています。

「〇〇専門」は、広告の1行目に置ける

元ネタは、店名・SNS・チラシ・看板のすべてで「〇〇専門」を明示することを勧めています。これは広告にもそのまま当てはまります。

「丁寧なカット」「経験豊富なスタッフ」は、どの店も書ける言葉です。「プードル専門」は、プードルを飼っている人にだけ強く刺さり、それ以外の人には刺さりません。広告では、誰に向けたものかが一目で伝わる表現のほうが、対象の人の目に留まりやすいと弊社は考えています。絞った言葉は、広告の文面を短くし、届く相手をはっきりさせます。

【応用編】何に絞るかを決める3つの問い

最も単価の高いものを特定し、発信を統一し、価格を見直す3つのステップ

元ネタの手順は3ステップです。自分のサービスの中で最も単価が高いものを特定する。その専門店として打ち出せるよう発信・訴求を統一する。専門特化による単価設定の見直しと価格改定を行う。

これを、自分の店に当てはめるための問いに置き換えてみます。

問い1:いま扱っているなかで、一番手間がかかり、一番単価を取れるものは何か

このサロンにとってのプードルです。絞る先は、得意なものや好きなものではなく、単価が高く、市場規模が十分あるものから選びます。単価の低いものに絞ると、専門性は上がっても売上の上限が下がるからです。

問い2:手放すものを、はっきり言えるか

「〇〇専門です。でも他もやります」では、専門性が薄まります。既存の顧客やサービスを手放す不安はつきものですが、ここで中途半端にすると差別化できません。何をやらないかまで決めて、初めて専門店になります。

問い3:店名・SNS・チラシ・看板のどこを見ても、同じ専門が書いてあるか

一部の媒体だけで専門をうたっても、見込み客の記憶には残りません。あらゆる接点で一貫して伝えて、口コミが広がる土台ができます。そのうえで、専門店としての価格を設定し直します。

元ネタでは、ほかの業種の例も挙げられています。焼肉屋なら和牛・松阪牛など高単価のブランド牛に特化する。車屋・整備shopなら、フェラーリやGTRなど高級・希少車種に絞る。エステ・美容サロンなら、小顔矯正やまつ毛など特定の施術に絞り込む。どれも、単価の高いところに絞っている点が共通しています。

その「何でもできます」は、誰に向けた言葉か

売上が伸びないとき、メニューを増やしたり、受け入れの幅を広げたりするのが自然な発想です。お客様を断らないことは、誠実にも見えます。

ただ、このサロンが選んだのは反対の道でした。対応していた犬種を手放し、単価の高いプードルに絞って、それをあらゆる場所で伝えた。その結果、1人で業界平均の約1.7倍の月商に届いています。

いまの店の「何でもできます」は、誰にとっての一番にもなっていない、ということはないでしょうか。

ADwith株式会社 代表 西川将吾
ADwith株式会社 代表 西川 将吾

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