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「体験会予約」をやめて「資料請求」にした。ボタンの文言を1つ変えただけで申し込みが3倍になった学習塾の話

広告の反応が悪いとき、多くの場合は広告そのものを見直します。写真を変える。キャッチコピーを練り直す。訴求を作り変える。

どれも正しい打ち手です。ただ、その前に確かめておきたい場所があります。広告の最後に置いてあるボタンに、いま何と書いてあるか。

沖縄で学習塾を運営するある会社は、そのボタンの文言だけを変えました。広告もランディングページの本文も、一文字も直していません。それで申し込みが3倍になっています。

変えたのはボタンの文言だけ。申し込みは3倍になった

ランディングページのボタンを『体験会予約はこちら』から『資料請求はこちら』に変更しただけで申し込み数が3倍になった

この塾は、広告からランディングページへ誘導し、塾の魅力を伝えた上で、最後にボタンを置いていました。そこに書かれていたのは「体験会予約」です。

構成として何も間違っていません。教室の特徴を伝え、興味を持った人に体験してもらう。塾の集客としては王道です。それでも予約数は伸びませんでした。

「資料請求」に差し替えた

変更したのは、この最後のボタンだけです。「体験会予約はこちら」を「資料請求はこちら」に差し替えました。

ページの本文も、広告のクリエイティブも、掲載媒体も、予算も、そのままです。ボタンの文言だけで、申し込み数は3倍になりました。

断られていたのではなく、まだ決められなかった

リードタイムの長い商材に『今すぐ予約』を求めると心理的ハードルが高い。低いハードルのCTAなら検討の時間を確保できる

親は、その場では決められない

塾を探している親の立場で考えてみます。広告を見て「この教室、良さそうだな」と思ったとして、その場で体験会の予約まで進むでしょうか。

進まない理由がいくつもあります。

まず、子ども本人の意思を確認しなければいけません。親がどれだけ良いと思っても、本人にやる気がなければ意味がありません。次に、気になる塾は他にもあります。そのすべてに体験に行くのは、子どもにとっても親にとっても時間的に無理です。さらに、費用や通学時間など家族で相談すべきことも残っています。

つまり塾は、興味を持ってから決断するまでに、どうしても時間が必要な商材です。

検討が必要な商材に「今すぐ」を求めていた

その状態の相手に「今すぐ体験会を予約してください」と求めると、心理的なハードルが高すぎて手が止まります。反応しなかった人は、内容を読んで断ったわけではありません。まだ決められる段階にいなかっただけです。

一方で「資料請求」であれば話が変わります。予約ではなく情報を受け取るだけなので、負担がほとんどありません。「とりあえず資料だけもらっておこう」「子どもと一緒に見てみよう」という軽さで手が動きます。

そして資料請求をしてもらえれば、連絡先が残ります。そこからフォローして、あらためて体験会へ案内できます。

教室の窓際の席と、資料に書き込む手元

その結果…

ボタンの文言を変えただけで、申し込み数は3倍になりました。その後のフォローで体験会への誘導にも成功し、最終的な入塾数も大きく伸びています。

【独自考察】検討期間の長さが、ボタンの文言を決めている

「今すぐ買いたい」商材なら、逆になる

この事例で私が最も重要だと考えたのは、資料請求が体験会予約より優れている、という話ではないという点です。

分かりやすい対比があります。明後日、子どもが学校で軍手を使うことになったとします。手元にない。そのときAmazonで「今すぐ買う」を押すことに、ためらいはありません。明日の夕方に届くと分かれば、その場で購入します。

同じ人が、塾の予約は先送りにして、軍手は即決する。違いは商品の良し悪しではありません。検討期間が必要かどうかです。

そして、この関係は逆にも働きます。今すぐ欲しいと思っている相手に「まずは資料請求を」と求めれば、面倒なだけです。手に入るまでの手数が増え、離脱の理由になります。

断られていたのではない。まだ決められる段階にいなかった

ボタンは、階段の一段目でしかない

もうひとつは、ボタンの役割の捉え方です。

広告の最後のボタンは、契約を取る場所だと考えられがちです。しかし検討期間の長い商材では、そこは次の一段を上ってもらうための場所でしかありません。資料請求で連絡先を受け取り、フォローで体験会へ、体験会から入塾へ。階段を分けたことで、一段あたりの高さが下がりました。

反応が出ないとき、多くの場合は広告の中身を疑います。しかしこの事例が示していたのは、中身ではなく、相手に求めている行動の大きさが合っていなかった、ということでした。

【応用編】自社のボタンを見直す4ステップ

商材のリードタイムを判断し、それに合わせたCTAへ変更し、フォロー導線を設計する4つのステップ

1. 自社の商材に検討期間があるか判断する

価格が高い、家族の同意が必要、他社と比較するのが前提、決めるまでに調べることが多い。ひとつでも当てはまれば、検討期間の長い商材です。

2. 検討期間に合わせてボタンの文言を決める

検討期間が長いなら、「購入」「予約」「申し込み」ではなく、「資料請求」「無料診断」「お試し見積もり」など、受け取るだけで済む行動に変えます。

3. 広告とランディングページのボタンを差し替える

この塾が変えたのは、最後のボタン1箇所だけです。本文を書き直す前に、まずここを試す価値があります。

4. 受け取った連絡先へのフォローを設計する

ハードルを下げた分、その先の導線が必要になります。メールや電話で、本命の行動へ段階的に案内します。ここを用意しないと、連絡先が溜まるだけで終わります。

他業種での例

外壁塗装会社なら「今すぐ施工予約」ではなく「無料見積もり診断」。高額のコンサルティングなら「契約申し込み」ではなく「無料相談予約」。不動産なら「内見予約」ではなく「物件資料のダウンロード」。

いずれも、相手が今いる段階に合った大きさの行動に置き換えています。

反応がないのは、中身のせいだけではないかもしれない

広告の数字が出ないとき、原因はクリエイティブや訴求にあると考えるのが自然です。

しかしこの塾が変えたのは、ボタンの文言だけでした。相手はまだ決められる段階にいないのに、決断を求めていた。それが反応しなかった理由でした。

自社の広告の最後にあるボタンは、いま相手に何を求めているでしょうか。

ADwith株式会社 代表 西川将吾
ADwith株式会社 代表 西川 将吾

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