求人・採用 5分で読めます

「面接は何回あるのか」を書いた。ほぼ全ての会社が載せていない情報を1つ足すだけで採用単価が8分の1になった話

求人票に何を書くかと言われれば、だいたい決まっています。仕事内容、待遇、勤務時間、休日。会社によってはミッションや1日の流れも載せます。

どれも欠かせない情報です。書かなければ応募が来ないのだから、どの会社も必ず書きます。

ところが、ほぼ全ての会社が載せていない情報が1つあります。ある会社はそれを追加しただけで、採用単価を8分の1にしました。

足したのは1項目だけ。採用単価は8分の1になった

求人に「採用までのプロセス」を1項目足しただけで採用単価が8分の1になった

追加した情報は「採用までのプロセス」です。

応募してから採用が決まるまでに、何が、どの順番で、どこで起きるのか。それを書いた。ただそれだけです。

なぜ、ほとんどの会社が書いていないのか

仕事内容や待遇は、書かなければ応募が集まりません。だから必ず書かれます。書かないと困るから書いているという言い方もできます。

一方で「採用までのプロセス」は、無くても応募が止まるほどのものではありません。求職者が「まずここを見る」と言う項目でもない。

重要視されていないから、載っていない。ほとんどの会社にとっての盲点は、そこにありました。

人は、わからないものをスルーする

どの会社も書く情報と、ほぼ誰も書かない情報

求職者が抱えている「わからない」は、想像以上に多い

応募しようとしている人の頭の中を、少し具体的に想像してみます。

面接は近くの支店でやるのだろうか。それとも本部のある東京まで行かなければいけないのか。面接は何回あるのか。採用が決まるまでにどれくらいかかるのか。採用された後に研修はあるのか。あるとしたら、それはどこでやるのか。

どれも求人票には書かれていないことばかりです。そして、わからないことは、そのまま不安になります。

不安なまま応募する人は、そう多くない

人は、わからないものをスルーします。読み飛ばすというより、判断を保留したまま次へ行く、という感覚に近いでしょう。

求人も同じです。条件が悪いから見送られたのではなく、わからないことが多すぎて、そのぶん他の企業へ流れていった。そう考えると、応募が集まらない理由の見え方が変わります。

面接に使う会議室と、書類をめくる手元

その結果…

「採用までのプロセス」を追加したことで、採用単価は8分の1になりました。

【独自考察】重要視されない情報ほど、載っていない

「重要な情報から書く」の落とし穴

この事例で私が面白いと思ったのは、効いた情報が「重要度の低い情報」だったという点です。

求人票を作るとき、私たちは重要な順に情報を並べます。仕事内容、待遇、勤務地。優先順位をつけて、大事なものから書く。至って正しい作り方です。

ただ、その作り方をすると、優先順位の低い情報は最後まで残り、そのまま書かれずに終わります。しかもどの会社も同じ優先順位で作るので、同じ情報が同じように抜け落ちます。

人は、わからないものをスルーする

差がつくのは、全員が書いている場所ではない

仕事内容や待遇は、全ての会社が書いています。そこで差をつけようとすれば、条件そのものを良くするしかありません。給与を上げる、休日を増やす。コストがかかります。

一方、誰も書いていない場所には、まだ何も置かれていません。そこに1つ置くだけで、その求人は「わかる求人」になります。お金をかけずに差がついたのは、競争が起きていない場所を埋めたからだと考えられます。

【応用編】採用までのプロセスを書く3ステップ

採用までのプロセスを書き足す3つの手順

1. 求職者がわからないことを、求職者目線で書き出す

自社の採用の流れは、社内の人間には当たり前すぎて見えません。そこで、応募する側の立場に立って「これ、どうなってるんだろう」と思う点を洗い出します。

面接の場所。面接の回数。結果の連絡時期。採用までの期間。研修の有無と場所。社内では説明するまでもないことほど、外からは見えていません。

2. 事情のある人を具体的に想像する

求職者は一様ではありません。たとえば、勤めていた会社が突然倒産して、すぐ次を見つけなければならない人がいます。この人は時間をかけられないので、採用までの期間と、採用・不採用の連絡がいつ来るのかが気になります。

遠出のできない事情がある人なら、面接や研修をどこでやるのかが気になります。誰の不安を消すのかを決めると、書くべきことが決まります。

3. 応募から採用までを、順番どおりに細かく書く

抽象的にまとめず、順番に並べます。応募したらいつ連絡が来るのか。一次面接はどこで、何を聞かれるのか。二次はあるのか。結果はいつわかるのか。入社日はどう決まるのか。

細かいほど、読み手は自分がその流れに乗っている姿を想像できます。

形としては、たとえばこう書けます。以下は書き方の例で、この会社の実際の文面ではありません。

応募 → 3日以内に担当から電話でご連絡
面接 → 1回のみ。お住まいから最寄りの店舗で実施します
結果 → 面接から1週間以内に、採否にかかわらずご連絡します
入社 → ご都合を伺って決めます。研修は入社後3日間、同じ店舗で行います

目新しいことは1つも書いていません。すでに社内で決まっていることを、順番に並べただけです。新しく作るものが無いというのが、この打ち手のいちばん現実的なところです。

他業種での例

飲食店なら、面接は店舗で行うのか本部なのか、私服で良いのか、試食や体験入店はあるのか。介護施設なら、見学だけでも可能か、資格が無い人の研修はどこで何日あるのか。工場なら、作業着は貸与か、配属先は面接時に決まるのか。

いずれも、条件を良くする話ではありません。すでにある事実を、書いていないだけです。

その求人票は、応募した後のことを教えているか

応募が集まらないとき、給与や休日を見直すのが自然な流れです。それで改善することもあります。

ただ、この会社が足したのは条件ではありませんでした。誰も重要だと思っていなかったせいで、どの会社にも載っていなかった情報を、1つ書いた。それだけです。

自社の求人票を、何も知らない人として最初から読んだとき、応募した後に何が起きるかは書いてあるでしょうか。

ADwith株式会社 代表 西川将吾
ADwith株式会社 代表 西川 将吾

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