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給与も福利厚生も変えていない。オフィスをカフェのように作り替えただけで20代の応募が5人から15人になった製造業の話

若い人が応募してこない。この相談は業種を問わず出てきますが、製造業では特によく聞きます。

打ち手として考えるのは、たいてい条件の話です。初任給を上げる。休日を増やす。求人サイトの掲載プランを上げる。

従業員600人規模のある製造業は、そのどれもやりませんでした。給与も福利厚生も変えないまま、20代の応募を5人から15人にしています。

応募114人のうち、20代は5人しかいなかった

オフィスを改装し、20代の応募が5人から年間平均15人になった

この会社の年間の応募者は114人。数だけ見れば、まったく集まっていないわけではありません。

ただし、そのうちZ世代と呼ばれる20代は5人でした。応募は来ているのに、若い世代だけが来ない。この状態が長年続いていたそうです。

やったのは、オフィスの改装だった

この会社が実施したのは、社員が働くオフィスの大規模なリニューアルです。

エントランスには自社ロゴを配置し、IT企業のような、会社の顔となる入口を設計しました。内装は黒と木目調を基調にして、おしゃれなカフェのような雰囲気に一新。カフェブース、社員食堂、バックヤードも整えています。

求人票の文言でも、給与でもありません。働く場所そのものを作り替えました。

Z世代が見ているのは、条件ではなく「その会社にいる自分」

40代以上は実利で選び、Z世代は働く自分のイメージで選ぶ

40代以上と、判断の基準が違う

40代以上の世代が就職先を選ぶとき、中心にあるのは給与、安定性、仕事内容といった「実利」です。求人票の情報は、この実利を伝えるために作られています。

一方でZ世代は、SNSで自分の日常や仕事をシェアすることが当たり前の世代です。そこで働く判断に効いてくるのが、「この会社で働いている自分はかっこいいか」「友達に自慢できるか」という自己イメージだと、元ネタでは説明されています。

職場が、ライフスタイルの一部になっている

これは心理学でいう「自己表現欲求」と重なります。Z世代にとって職場は、単に働く場所ではなく、自分のライフスタイルやブランドの一部という位置づけになっている。

だとすると、給与を上げても求人サイトを作り直しても、この層には届きにくいことになります。判断の基準が「ここで働く自分を想像したとき、気分が上がるかどうか」だからです。

改装されたオフィスと、カウンターの手元

その結果…

Z世代からの応募は5人から、年間平均15人になりました。給与も福利厚生も変えていません。

効果は採用だけではなく、既存社員のモチベーション向上や離職率の改善にも表れたそうです。

【独自考察】求人広告ではなく、職場そのものが情報になっている

言葉で説明していない

この事例で私が注目したのは、会社が何も説明していないという点です。

「風通しの良い職場です」「アットホームな雰囲気です」と書けば、それは説明になります。ただ、読み手にとっては他社の求人にも並んでいる言葉でしかありません。

写真1枚のオフィスは、説明ではなく事実です。しかも見た瞬間に伝わります。言葉で伝わらなくなった相手に、言葉以外で伝えた事例だと捉えると、応用の幅が広がります。

ここで働く自分を想像したとき、気分が上がるかどうか

採用のためにやったことが、辞めない理由にもなった

見落としやすいのは、効果が採用だけに出たわけではない点です。既存社員のモチベーションが上がり、離職率も改善したと報告されています。

求人広告は、応募が来た時点で役目を終えます。掲載をやめれば効果も消えます。ところが職場そのものは、入社した後も毎日そこにあります。採用のための投資が、そのまま定着のための投資になっている。同じ金額を求人媒体に払った場合との差は、ここに出ます。

お金がかかる打ち手であることは、隠さないほうがいい

ただし、この施策には資金力が要ります。元ネタでも、ある程度の投資余力がある企業への提案が現実的だと明記されています。この点は正直に見ておくべきでしょう。

一方で、全体を大規模に改修しなくても効果は期待できるとも書かれています。エントランスや休憩スペースなど、「見せ場」を1箇所だけ集中的に整えるやり方です。投資の規模は、そこで調整できます。

【応用編】見せ場を1箇所つくる3ステップ

見せ場を1箇所つくる3つの手順

1. 見せ場にする場所を1箇所だけ決める

全部をきれいにしようとすると予算が合わなくなります。応募者が最初に目にする場所、あるいは写真に撮ったときに一番強い場所を、1箇所だけ選びます。

エントランス、休憩スペース、バックヤード。選ぶ基準は「広さ」ではなく「写るかどうか」です。

2. 若い世代が憧れる空間に作り替える

この会社は黒と木目調でカフェのような雰囲気にしました。重要なのは内装のセンスそのものより、ここにいる自分を想像したときに気分が上がるかどうかです。

判断に迷ったら、実際に20代の社員に見てもらうのが早いはずです。想像で決めると、決裁者の世代の好みになります。

3. 改装後の写真と動画を、SNSと求人サイトに出し続ける

作っただけでは誰にも見えません。元ネタでも、リニューアル後は写真・動画を積極的に掲載し、Z世代の目に触れる機会を増やすことが重要だとされています。

せっかく投資した見せ場です。1回投稿して終わりでは、費用対効果が合いません。

他業種での例

工場なら休憩室やエントランスを整えて求人に使う。士業やコンサル事務所なら内装を一新してSNSで発信し、若手採用につなげる。小売やサービス業なら、バックヤードやスタッフルームを整えて定着率を高める。

どれも、求人票の文言をいじる話ではありません。

その職場の写真を、20代は友達に見せられるか

若い応募が来ないとき、条件を上げるのが自然な発想です。実際、それで動くこともあります。

ただ、この会社が変えたのは条件ではありませんでした。働いている自分を想像させる場所を、1つ作った。それだけです。

自社の職場を写真に撮ったとき、そこに写るものは、20代にとって何を意味しているでしょうか。

ADwith株式会社 代表 西川将吾
ADwith株式会社 代表 西川 将吾

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