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社員を集めるのをやめた。1つの領域のプロに業務委託する形に変えて年間の応募が6件から56件になったリフォーム会社の話

人が足りないとき、真っ先に考えるのは求人です。媒体に出す、条件を見直す、掲載プランを上げる。

ただ、小さな会社ほどこの打ち手は効きにくくなります。大手と比べれば給料も待遇も見劣りするからです。

あるリフォーム会社は、そこで募集の形そのものを変えました。年間6件しかなかった応募が、56件になっています。

応募6件が56件に。従業員は20人ほど増えた

社員採用から業務委託に切り替え、年間の応募が6件から56件になった

この会社はもともと、父・母・息子の3人で回していました。父親が引退した後は、息子さんとその奥さんの2人です。

営業も、商品提供も、顧客対応も、事務作業も、その2人でやっていました。そこへ集客が改善して売上が戻ってきた。すると今度は、人手の限界がすぐにやってきます。

求人を出しても、応募は来なかった

当然、求人は出していました。ところが規模の大きい会社と比べれば給料も少なく、待遇も良くありません。応募が来ない状態が続きました。

条件で勝てない会社が、条件を並べる土俵で戦っていたことになります。

働きたい人がいないのではない。社員が集まらないだけだった

何でもできる社員を1人雇う形と、1領域のプロに業務委託する形

「社員」という条件が、応募を狭めていた

この会社が切り替えたのは、社員ではなく、1つの領域のプロフェッショナルと業務委託をしていくという形でした。

何でもできる人を社員として1人雇うのではありません。現場作業ができる人、事務作業ができる人、マーケティングができる人。領域ごとに、その仕事ができる人と契約していきます。

週3日だけ、午前中だけ、という人はたくさんいる

採用難と言われますが、正確には「働きたい人がいない」のではありません。社員として働ける人を集めるのが難しいのです。

週3日だけ働きたい。午前中だけがいい。そういう人はたくさんいます。社員という枠に当てはめようとすると、その人たちは最初から応募できません。

リフォームの作業現場と、道具を持つ手元

その結果…

年間の応募は6件から56件に増えました。従業員は20人ほど増え、人手不足が解消したことで、年商は3億円ほどまで成長しています。

【独自考察】募集要件は、そのまま応募できる人の数を決めている

条件で負けるなら、条件以外を動かす

この事例で私が重要だと考えたのは、この会社が給料も待遇も上げていないという点です。

大手より条件が悪いという事実は変わっていません。変えたのは、募集の形のほうです。フルタイムの社員という前提を外した瞬間に、応募できる人の母数が変わりました。

求人がうまくいかないとき、私たちは「どう伝えるか」を考えます。ただその前に、そもそも誰が応募できる募集になっているかを見たほうが早い場合があります。

働きたい人がいないのではない。社員が集まらないだけだった

小さい会社ほど、この形が向いている

領域ごとに人を集める形は、大企業より小さな会社のほうが合っていると考えています。もともと1人が何役もこなしている状態なので、切り出せる仕事の輪郭がはっきりしているからです。

現場作業、事務、集客。この会社の場合、切り分ける単位はすでに日々の業務の中にありました。新しく設計したというより、いま2人でやっていることを並べ直したという表現のほうが近いはずです。

切り替えるときに、確認しておくこと

ひとつ実務上の注意があります。業務委託は雇用ではないため、働く時間や進め方を細かく指示すると、実態として雇用とみなされる可能性があります。いわゆる偽装請負の問題です。

この形が成立するのは、任せる範囲が「領域」として切り出せていて、進め方を相手に委ねられる場合です。逆に言えば、常に手元に置いて逐一指示したい仕事は、この形に向いていません。どちらが正しいという話ではなく、仕事の性質で選ぶことになります。

この線引きは会社ごとの事情で変わるため、規模が大きくなる前に社会保険労務士に一度確認しておくと安全です。

【応用編】業務委託に切り替える3ステップ

社員採用から業務委託へ切り替える3つの手順

1. いまやっている仕事を、領域で切り分ける

1日の業務を書き出し、現場、事務、集客、顧客対応といった単位に分けます。1人分の仕事ではなく、1領域分の仕事として並べ直すのがポイントです。

この時点で、社員1人を雇う話ではなくなります。

2. 領域ごとに、できる人を探す

全部できる人は希少で、条件の勝負になります。1つだけできる人は多く、しかも条件よりも「その仕事だけをやれること」を重視する人がいます。

現場作業だけ、経理だけ、SNSだけ。募集する単位を小さくするほど、応募できる人は増えます。

3. 働き方の幅を先に書く

週3日でも可、午前中のみ可、在宅可。当てはまる人がいるなら、その条件は最初に書きます。書かれていなければ、その人たちは自分が対象だと気づけません。

他業種での例

飲食店なら、仕込みだけ入る人と、ピーク帯だけ入る人に分ける。工務店なら、現場と積算と事務を分ける。士業事務所なら、記帳、書類作成、問い合わせ対応を分ける。

いずれも、いま社内でやっている仕事の並べ直しです。新しい業務を作る必要はありません。

切り分けたあとは、任せる範囲と、成果物の形と、報酬の決め方を書面にしておきます。口頭のまま始めると、あとから「どこまでが仕事か」で揉めます。ここだけは、社員採用より丁寧にやる必要があります。

その募集要項に、応募できない人はいないか

応募が来ないとき、給料や待遇を見直すのが自然な流れです。それで動くこともあります。

ただ、この会社が変えたのは条件ではありませんでした。社員という枠を外して、仕事を領域で切り分けた。それだけです。

自社の募集は、週3日なら働けるという人に、届く形になっているでしょうか。

ADwith株式会社 代表 西川将吾
ADwith株式会社 代表 西川 将吾

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