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「成長意欲がある人」と書くのをやめた。求める人物像の書き方を変えただけで、採用後の離職率が半減した求人サイトの話

成長意欲がある人。やる気がある人。責任感が強い人。

求人サイトの「求める人物像」の欄には、だいたいこういう言葉が並びます。間違ったことは書いていません。実際、そういう人に来てほしいのは本当です。

ただ、この欄の書き方を変えただけで、採用した人の離職率が半減した事例があります。変えたのは、求める人物像の書き方だけです。

求める人物像を書き換えて、離職率が半分になった

求める人物像の書き方を変えただけで、離職率が半減した

求人サイトを作るとき、「求める人物像」は必須のコンテンツです。どの会社も書きます。

この事例で変えたのは、その中身の書き方でした。抽象的な言葉を並べるのをやめ、狙った人にだけ深く刺さる具体的な書き方に切り替えています。その結果、離職率が半減しました。

応募を増やす話ではありません。入った人が辞めなくなった、という話です。

「やる気がある人」を読んで、自分のことだと思う人はいない

誰にでも当てはまる人物像と、特定の人にだけ当てはまる人物像

求人も、商品のLPと同じ仕組みで読まれている

人は「これは私のためのものだ」と感じるほど、欲求が強くなります。商品を売るときと同じです。

販売用のLPでは、冒頭に「〇〇に悩んでいる△△へ」「もしあなたが〇〇に悩んでいるのであれば…」といったターゲティングコピーを置きます。これで読み手に「これは私のための商品だ」と感じさせ、購買欲求を高めます。

求人も同じです。「ここは私のための会社だ」と感じるほど、「ここで働きたい」という欲求は高まります。それを直接伝えられる場所が、求める人物像の欄です。

誰にでも当てはまる言葉は、誰の背中も押さない

ところが、多くの求人サイトでここに書かれているのは「成長意欲がある人」「やる気がある人」「責任感が強い人」です。

これを読んで、自分は当てはまらないと思う人はほとんどいません。そして、「ここは私のための会社だ」と感じる人もほとんどいません。全員に当てはまる言葉は、読み手を1人も特別扱いしていないからです。

元ネタが例に挙げた、ある塾の書き方

では、どう書けばいいのか。元ネタが具体例として挙げているのは、ある学習塾の求める人物像です。

できない子供がどうすればできるようになるのか、それをどれだけ考えても飽きがこない人

何よりも子供の成長を考えている真面目な講師がこれを読めば、「ここは私のための職場だ」と感じるはずです。逆に、そういう考え方をしない人は、読んでも自分のことだとは思いません。

教室の机と、答案に書き込む手元

その結果…

求める人物像の書き方を変えたことで、採用のミスマッチが減り、離職率は半減しました。

【独自考察】求める人物像は、募集の欄ではなく選別の欄

あやふやな人物像は、ミスマッチを入口で素通りさせる

元ネタは、離職率が下がった理由を採用のミスマッチが減ったからと説明しています。求める人物像があやふやなほどミスマッチが起こり、離職率は上がる、という整理です。

私がこの事例で重要だと考えたのは、ミスマッチが面接や入社後ではなく、求人を読んだ時点で決まっているという見方です。「やる気がある人」と書けば、ほぼ全員が自分は該当すると判断して応募してきます。求人の側で誰もふるい落としていないので、合わない人も合う人も同じ顔で面接に来ます。

面接で見抜けばいい、と考えがちです。ただ、面接に来る人は全員「やる気があります」と言います。そう書いてあったからです。

ここは私のための会社だ、と感じるほど、ここで働きたいという欲求は高まる

具体的に書くことは、合わない人に断る理由を渡すこと

塾の文面をもう一度読むと、この書き方は2つの働きをしています。

1つは、子供の成長を考え続けられる人に「私のことだ」と思わせること。もう1つは、そうでない人に「自分向きではない」と気づかせることです。後者は見落とされがちですが、離職率を下げたのはむしろこちらの働きだと考えています。

応募する前に自分で離れてくれた人は、入社して合わずに辞める人にはなりません。具体的な人物像は、合わない人に対して、会社の代わりに先に断ってくれています。

応募数だけを見ていると、この打ち手は選べない

もう1点、この事例の成果が応募数ではなく離職率で語られていることに注目したいと思います。

人物像を絞れば、自分には当てはまらないと感じる人が出てきます。応募数だけを成果として追っていると、この変更は「応募を減らしかねない施策」に見え、手が出しにくくなります。

元ネタの言葉を借りれば、求める人物像にハマる人が働いてくれるようになれば、会社にとってもピッタリな人材になり、採用された人も自分にピッタリな会社で働けます。採用の成果を、入社した人が残ったかどうかで測るなら、この欄を書き換える理由ははっきりします。

【応用編】書き換える前に、自分に投げる4つの問い

求める人物像を具体的に書き換えるための問い

元ネタの指示はシンプルで、「やる気がある人」のような抽象的な書き方ではなく、ターゲットにだけ刺さる具体的な人物像を書く、というものです。そのために、書く前に次の問いに答えておくと進めやすくなります。

問い1. いま活躍している人は、何を考え続けていられる人か。
塾の例が良いのは、性格ではなく「何を考えても飽きないか」を書いている点です。今の職場で長く続いている人を思い浮かべ、その人が苦にせず続けていることを探します。

問い2. それを読んで「自分のことだ」と思うのは誰か。
書いた文面を、狙っている人物に見せたと想像します。「成長意欲がある人」なら誰もが頷くので、まだ抽象的です。頷く人が限られてくるまで具体的にします。

問い3. それを読んで「自分ではない」と思うのは誰か。
ここに答えられない文面は、誰もふるい落としていません。合わない人の顔が浮かぶかどうかが、具体的になったかどうかの目安になります。

問い4. 入社後、その人物像どおりの仕事が実際にあるか。
書いた人物像と入社後の仕事がずれていれば、ミスマッチは形を変えて残ります。人物像は、仕事の中身から逆算して書くものです。

たとえば飲食店なら「明るく元気な人」ではなく、常連さんの好みを覚えて次の来店で先に出せたときに嬉しくなる人。事務職なら「几帳面な人」ではなく、誰も気づかない数字のずれを見つけると放っておけない人。以上は書き方の例で、元ネタに登場する文面ではありません。

その人物像を読んで、断る人はいるか

早期離職が続くと、研修や面接のやり方を見直すのが自然な流れです。それで改善することもあります。

ただ、この事例で変えたのは入社後の仕組みではありませんでした。誰にでも当てはまる人物像を、特定の人にだけ当てはまる書き方に変えた。それだけです。

自社の求める人物像を読んだとき、「自分のことだ」と思う人と同じくらい、「自分ではない」と思う人の顔が浮かぶでしょうか。

ADwith株式会社 代表 西川将吾
ADwith株式会社 代表 西川 将吾

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