求人・採用 5分で読めます

応募は来ているのに、10人に9人が断ってくる。内定通知をメールから紙に変えただけで承諾率が5倍に戻った話

求人を出しても応募が来ない、という悩みはよく聞きます。

では、応募は十分に来ているのに、内定を出した相手の9割に断られていたとしたら。この会社が抱えていたのは、そういう問題でした。

内定承諾率が50%から10%まで落ち込み、たった一つの変更で50%に戻りました。変えたのは、内定通知を届ける手段だけです。

応募は来ている。それなのに、10人に9人が断ってくる

内定通知を届ける手段をメールから紙に変えた。10%が50%に。

年商100億円規模のある企業の話です。

この規模になると、新卒採用に相応の力を入れます。給与も福利厚生もそれなりに整っているため、応募者数そのものは確保できていました。

落ちていたのは、最後の一歩だった

問題は内定を出した後にありました。新卒採用を始めた頃は50%あった内定承諾率が、10%まで落ちていたのです。10人に内定を出して、来てくれるのは1人。

新卒の内定承諾率は、一般に30%程度が平均とされています。この会社はそれを大きく下回っていました。

原因は、内定通知が読まれていなかったこと

優秀な学生は、10社20社から同時に内定を受け取る。トヨタ、三菱、大手商社。名だたる企業の通知と同じ受信箱に並ぶから紙で内定通知を送る会社はほとんどない。1通だけ、手元に残るへ。

内定は、優秀な一人に集中する

新卒採用の市場には、他の集客とは違う構造があります。内定が均等に分散しないということです。

求職者が100人いて、企業が100社あったとします。それでも内定は100人にばらけません。A社もB社もC社も、全員が最も優秀なA君に内定を出す。実際にそうなります。

野球のドラフト会議で、12球団のうち8球団が同じ選手を1位指名するのと同じ構造です。

トヨタ、三菱、大手商社と、同じ受信箱に並んだとき

その結果、優秀な学生は10社、20社から同時に内定を受け取ります。しかも、ほぼ同じ時期に。

多くの企業は内定通知をメールで送ります。受け取る側の画面には、名だたる企業からの通知が一斉に並びます。トヨタ、三菱、有名コンサルファーム、大手商社。

その中に、年商100億円規模の企業からのメールが1通混ざる。知名度で劣る会社の通知は、開かれる前に流されます。内容が悪いのではありません。読まれる順番が回ってこないだけです。

メールをやめて、紙で送った

この会社が実施したのは、極めてシンプルな変更でした。内定通知を、メールから紙のDMに切り替えたのです。

紙で内定通知を出す会社は、ほとんどいない

まず、物理的に目立ちます。他社が一斉にメールを送っている中で、紙の封筒が1通届く。それだけで他と同じ扱いにはなりません。

そして紙という媒体には、メールにない性質があります。受け取った学生は「わざわざ紙で送ってくれた」と感じ、内容をじっくり読みます。メールなら流し読みされる文面が、紙なら立ち止まって読まれる。

その結果…

内定承諾率は、10%から50%に戻った

文面の中身を大きく変えたわけではありません。届ける手段を変えただけで、承諾率は5倍になりました。

【独自考察】競争しているのは、給与でも知名度でもなかった

この事例を読んで最初に思ったのは、この会社が戦っていた相手は競合他社ではなかった、ということです。

戦っていたのは、相手の受信箱の中の順番

内定を辞退されるとき、原因は待遇や事業内容にあると考えるのが自然です。しかしこの会社の場合、そもそも比較の土俵に上がっていませんでした。

検討されて負けたのではなく、検討される前に流されていた。同じ形式・同じタイミングで送れば、知名度がそのまま優先順位になります。中身を磨いても、読まれなければ結果は変わりません。

メディアを変えるというのは、その順位争いから降りるという判断でした。

手間がかかることが、そのままメッセージになる

もうひとつは、紙という選択そのものが持つ意味です。

メールは一斉送信できます。紙は、印刷して、封入して、宛名を書いて、投函する必要があります。この手間を引き受けたという事実が、言葉より先に伝わります。

「あなたに来てほしい」と文面に書くのは簡単です。しかし手間のかかる方法をわざわざ選んだという行動は、書かなくても伝わる。効率化された手段が当たり前になった環境では、非効率な手段の方が誠実さの証明になることがあります。

【応用編】紙のDMに、何を書くか

紙のDMに書く4つの要素。個別化されたメッセージ。採用の理由。将来のビジョン。企業の本気度

内定通知書をそのまま印刷して郵送するだけでは足りません。届いた紙に、次の4つを盛り込みます。

  • 個別化されたメッセージ:「○○さんの△△という強みに感銘を受けました」というように、その人固有の評価理由を書く
  • 採用の理由:数多くの応募者の中から、なぜあなたを選んだのかを明確に伝える
  • 将来のビジョン:当社で働くことで、あなたのキャリアがどう発展するかを描く
  • 企業の本気度:紙というメディアを選んだこと自体が、その証明になる

紙質と余白にも意味がある

安っぽい印刷では逆効果になります。しっかりとした紙質、読みやすいレイアウト、適度な余白。これらが「大切に扱われている」という印象をつくります。

発送は、決めたらすぐに

タイミングも重要です。内定を出すと決めたら、できるだけ早く発送します。他社がメールで一斉送信している最中に紙のDMが届けば、印象はさらに強く残ります。

新卒採用以外にも使える

この考え方は、内定通知に限りません。

  • 中小企業の新卒採用:知名度で劣るからこそ、紙のDMで「あなたを本気で必要としています」と伝える
  • 専門職・技術職の採用:引く手あまたのエンジニアやデザイナーにも、紙で「あなたのスキルをこう活かしてほしい」という具体的なビジョンを示す
  • 地方企業の都市部人材採用:地域の魅力や働き方のビジョンを、紙で丁寧に伝える

相手の手元で、どんな状態で読まれているか

採用がうまくいかないとき、原因は自社の条件にあると考えがちです。

しかしこの事例が示していたのは、送った情報がどんな状況で受け取られているかを、そもそも想像していなかったという問題でした。20通の内定メールが並んだ受信箱を思い浮かべていれば、同じ形式で送ろうとは思わなかったはずです。

自社が送っている情報は、いま相手の手元でどんな状態に置かれているでしょうか。

ADwith株式会社 代表 西川将吾
ADwith株式会社 代表 西川 将吾

自社に当てはめると、どこから手を付けるべきか。

まずは現状をご相談ください

広告運用・採用マーケティングの両面から、御社の状況に合わせた打ち手をご提案します。

無料で相談する